久々にN響アワーを見た。
先々月に観に行った、ネヴィルマリナーの、別日公演の録画が主な内容。
曲は、ブラームス4番 
加えて、マリナーのインタビューも放映された。

この日の公演、気づいた時には既に時遅しだったけど、これは、行きたかったなあ!それぐらい素晴らしい演奏。
主題が展開するにつれ、躊躇なくテンポをぐいぐい押し進めるマリナー節を踏襲しつつ、一つ一つ入魂の音を聴かせる部分は出来立ての料理のようにジュワーッと熱く聴きごたえのある音。
いつもそうだが、曲の構造ががパーッと鮮明に見えやすい演奏なのだ。
やはり弦楽器は格別のコダワリ。
話によると、マリナーの師匠がモントゥーで、モントゥーはかつてブラームスの面前で演奏していたという、ものスゴい関係なのだ。

インタビューも良かった。
この人を語る上で欠かせない存在アカデミー楽団設立の経緯について、1960年代当時は、オケが肥大化し、編成もプログラムもこってりしたものが好まれる風潮だったことに対し、演奏者であった自分たちが表現したい「室内楽」への思い入れを形にしたのが、アカデミー楽団だったわけだ。
今は音楽監督が鶴の一声でそのオケの音楽性を決めてしまうのではなく、演奏者自ら自分たちのサウンドを作っていかなければともおっしゃってました。その先駆者的存在が、アカデミーだったわけだ。

他には、ブラームスの曲について、また、最も思い入れのある弦楽器の書法について、そして、自己の音楽への取り組み方など、本当に良い内容だった。
録音数は膨大だけど、他の指揮者に比べて客演があまり多くなく、映像も出回ってないので、今回の番組は映像作品としても歴史的に貴重なモノになるんではないかな。