アレンジャーを夢見ていた子供の頃、

音楽を作る人の中で最も能力が高い人は、
全てのアンサンブルを脳内で構築できる人
それを一人で形にできる人
すなわちそれはアレンジャーだ
と信じていたことがありました。

しかし、仕事をやればやるほど、
やはり音楽は一人で作るには限界があることを思い知るのです。

テープといいながら、テープで渡すことは今やもうないデモテープ。

作曲家、特に編曲もするような、アレンジャータイプの人(ワタシも含めて)が作るデモテープは、必要な音情報は一通り詰め込まれて、特にJ-POPの現場では、現在では本チャンと変わらないクオリティが求められている、と言われている。

ところが、僕らが他の立場の方々から受け取るデモテープ、例えばアレンジをしないタイプのミュージシャンが弾き語りしました、とか、作詞家さんが仮歌を自ら歌いましたとか、そういうデモテープの方がとんでもなく感動する内容であることが多いんです。

録音環境は、もちろん、その人の自宅。
録音状態がよいわけでもないし、アレンジが施されているわけでもなく、音質が整っているわけではない。

しかし、そこに込められた音の熱量っていうのは、アレンジャーのデモよりも遥かに凌いでいるように思う。

これに様々な人の手が加わりブラッシュアップされていけば間違いなく良いものが出来上がるぞというのが想像できる。

そういうデモテープに打ちのめされることが今もたくさんあるのです。